軽井沢山荘
4月の末,たまっていたマイレージを使って,連休前のまだ静かな軽井沢に行って来ました.こぶしの白い花が満開で,桜も咲き始めていました.
軽井沢に行こうと思った理由のひとつが画像の「軽井沢山荘」をぜひ見たいと思っていたからです.吉村順三設計のあまりにも有名な名作です.今までに何度も図面は見ていますし,いろいろな本で写真も見ていました.長年恋いこがれていたあこがれの人に会いに行くようなものです.ただし,個人の住宅なので敷地の外からそっとうかがうだけでしたが,それで充分でした.私にとってはその建物がどんな場所にあるのかそれを体験できればそれでいいと思いました.
この小さな山荘についてはたくさんの書籍で紹介されていますが,もっともわかりやすくまとまっているのがこの本小さな森の家 軽井沢山荘物語 吉村順三著だと思います.
ただちょっと残念だったのは屋根に針葉樹の落ち葉がたくさんたまっていて,長い間使われていないような風情だったことです.針葉樹の葉はそのままにしておくと屋根の鉄板が錆びる原因になりますし,何より使わない家は傷みが進行します.この家のファンはたくさんいますし,もとより文化遺産といってもいいほどの価値ある建築なので,ぜひ末永く管理されるように願います.余計なお世話かもしれませんが・・・.
軽井沢には学生の頃,追分にある大学のセミナーハウスに行ったことがあるのですが,いわゆる旧軽井沢のお店や別荘が建ち並ぶあたりには行ったことがありませんでした.その当時は在来線でしたので東京から軽井沢に行くにもけっこう時間がかかりました.たぶん3,4時間はかかったと思います.途中の横川の釜飯が楽しみではありましたが・・・.今回は長野新幹線で,東京駅から1時間10分あまりで着きました.あっという間です.
軽井沢というと日本でももっとも歴史ある避暑地・別荘地です.今回は旧軽井沢から万平ホテルにいたるあたりの別荘地を歩いて,その雰囲気を知ることができました.残念ながら長いこと使われることもなく朽ち果てる寸前の建物も多く見かけました.
新幹線の駅の近くには西武グループが開発したスポーツ用品のアウトレットモールがあり,若い人でにぎわっていました.こちらは私も大学で講義をうけた池原義郎先生の設計です.軽井沢もかわりつつあるようです.
道東も飛行機を利用すると首都圏から以前の軽井沢と同じような時間で来ることができるので,これからは移住のみならず別荘地としての利用も多くなると思います.なにしろ本州の別荘地に比べると北海道は地価が安いし,それゆえ広大な敷地を持つことができます.自然も雄大です.
軽井沢の様々な別荘を見て,これからの道東の別荘についてあれこれ考えさせられました.できることなら,「軽井沢山荘」のように,凝縮された濃厚なスケール感のなかに質素でありながら広がりと優雅さを兼ね備えた建物を自分も作ってみたいと思います.