木造住宅の耐震強度(その3)
建物に加わる横方向の力(外力)には風圧力と地震力があります.建築基準法でも,これらの外力に対して建物が倒壊しないように筋交(すじかい)などが入った耐力壁を設けるようにとの規定があります.
木造在来工法の骨組み(軸組)を簡単に述べると,基礎の上に土台を敷き,その上に柱が立ちます.柱の頂部を桁,もしくは梁がつなぎます.土台と柱,柱と桁の各接合部(仕口)は基本的にはピン接合と呼ばれるもので,自由に回転します.ちょっとわかりにくいかもしれませんが,図の上のほうのように,横方向から力が加わると,簡単に変形し倒れることになっています.
それではまずいので下の図のように,これに斜めに筋交を入れることにより,軸組は変形しないで横方向の力に耐えられるようになります.もしくは軸組全体に板状のものを張ることによっても変形を防げます.
結局,木造の住宅ではそうした耐力壁がたくさんあったほうが,地震に強いといえます.そしてもうひとつ重要なのは,この耐力壁がバランスよく配置されていることです.一般に南側は太陽の陽をいっぱい入れたいので,窓が多くなり壁は少なくなりますが,北側は逆に壁が多くなります.そのように耐力壁のバランスがかたよる(偏心した状態)と,地震の時に壁の少ない弱いところに力が集中し,建物が壊れることになります.
大きな吹き抜けがある場合も,水平面の剛性が少なくなって弱くなる場合があります.画像はそれを補うために梁をもう一本入れて補強した例です.ついでに間接照明的な光源も入れてあります.
道東は地震の多い地域なので,地震対策にはいつも気をつかいます.わが家の食卓にはかつてガラスでできたペンダントがふたつ並んで下がっていましたが,地震の時に揺れてぶつかってひとつが割れてしまいました.以来,ペンダントはひとつのままです.そんなことにも気をつけなければなりません.