ちいさいおうち
蕎麦が好きで,昼食は毎日蕎麦でもいい私です.家でも作りますが,お店にもよく食べに行きます.量が少ないお店ではまず冷たい蕎麦を食べてからあたたかい蕎麦も食べます.そんなわけで旅先でもお蕎麦屋さんに行くことがしばしばですが,東京のお蕎麦屋さんでお気に入りなのが画像の神田「まつや」です.
池波正太郎も常連だったというお店で,おいしいのはもちろんのこと,値段も高くないし量もあるのでお薦めです.いくらおいしくても量が極端に少なかったり値段が高かったりするのは嫌です.このお店,JRの神田駅と秋葉原駅の中間あたりにあるのですが,ご覧のように周囲を高いビルに囲まれている木造の古い建物です.これを見て思い出すのが,子供の頃に見ていた絵本のちいさいおうち です.とても有名な絵本なのでご存じの方も多いと思いますが,田舎の小さな家がしだいに周囲が都市化していってビルに囲まれてしまうというお話しです.作者のバージニア・リー・バートンには他にもとてもおもしろい絵本があって,子供の頃すり切れるまで繰り返し読んだ覚えがあります.
「小さな家」というと有名なのがル・コルビュジエが両親のために建てたスイス・レマン湖畔の家ですが,小さいとはいえふたつの寝室があるなど,ある程度の広さがあります.その点,同じル・コルビュジエには本当に小さなワンルームの家カップ・マルタンの「休暇小屋」がありこちらはわずか8帖ほどの大きさです.また,若くして夭逝した詩人で建築家の立原道造設計の「ヒアシンスハウス」も思いつきます.こうした小さな家には,余計なものをそぎ取った生活のエッセンスが見られて,ある意味人生の最後に過ごすのはこうした家がいいのかなぁと考えたりもします.長く暮らしているとどうしても身の回りにものが増えていきますが,自分に本当に必要なものを考え,余計なものをそぎ落としてシンプルに暮らす,そんなことができればと思います.なかなか難しいことかもしれませんが・・・.