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エネルギーと環境問題

この冬,北海道ではとうとう灯油の値段が1リットルあたり100円を超えるようになりました.異常事態といってもいいと思います.5,6年ほど前までは40円くらいの値段だったのに,じわりじわりと値上がりし,今年になってグンとあがりました.灯油のストーブやボイラーを熱源にしている家では今年の冬は暖房費に相当の負担を強いられそうです.
ここ数年,原油高の傾向が続いていたせいもあって,最近は暖房の熱源を電気にする家が増えてきました.釧路地方では06年の新築住宅のおよそ7割がいわゆるオール電化住宅で,ガスや灯油を使わず給湯,暖房,調理コンロのすべてを電気に頼るようになっています.なかでも一番ランニングコストが問題になるのが暖房ですが,安価な深夜電力をつかう蓄熱暖房器だとあきらかにメリットがあります.2年前の月曜塾での勉強会の資料によると灯油単価が55円/Lくらいで石油による温水暖房(ボイラーによるセントラル暖房)がオール電化蓄熱暖房とランニングコストで同等となるそうですから現状の灯油単価では明らかに差があります.
蓄熱暖房機

オール電化による暖房は大きく分けて二つあります.深夜電力によるものと,融雪電力によるものです.これまで一般的だったのは深夜電力(北電との契約ではドリーム8など)のほうで,中でも最初の画像のように蓄熱暖房機を使う方法です.
この大きな暖房機内部のセラミックに安価な深夜電力で熱をため込み,昼間徐々に熱を放出します.
同じ深夜電力利用でも最近になって増え始めてきたのが,床下のコンクリートあるいは土壌そのものにヒーターを埋め込み,そこに蓄熱するタイプです.
埋め込みヒーター
画像はTY邸で採用したエナーテック社の床下蓄熱暖房システムのヒーターです.このヒーターがコンクリートに埋め込まれそのコンクリートが蓄熱体となり床下から家全体を暖めます.従来の蓄熱暖房機に比べると大きな暖房機が床上から無くなるし,床全体の輻射熱で暖めるので快適性が増しました.とはいえ,深夜電力を利用する蓄熱式の共通の欠点は,微妙な温度のコントロールがしにくいというところです.一度ため込んだ熱を徐々に放出するので,昼間暖かい日などは暑くなりすぎるということが春・秋の季節の端境期にしばしば起こります.

もう一つが融雪電力(北電との契約ではホットタイム22など)によるものです.名前の通り本来は外部で雪を解かすロードヒーティングに使われるものでしたが,近年暖房にも使われるようになりました.
電気ボイラー
画像はHT邸の電気ボイラーです.融雪電力でこのボイラーにより温水を作りパネル式の床暖房とパネルヒーターにより暖房をしています.融雪電力による暖房ではこうした電気ボイラーによるもののほかにオイルパネルヒーターがあります.融雪電力の暖房は深夜電力に比べて温度の制御がしやすいことがメリットですが,ランニングコストは高めです.それでも現在の灯油の値段であれば融雪電力のほうが有利だと思います.

ただし地球温暖化に影響があるとされる二酸化炭素の排出量でいうと,電気を熱源にするのがベストとも言い難いようです.北海道の場合,発電のおよそ8割が石油と石炭の化石燃料による火力発電ですし,電気はそれが各家庭に運ばれる過程でかなりのロスがあるからです.原子力発電の比率を高めれば二酸化炭素の排出量は減りますが,それはそれで別の問題が生じます.

地場の間伐材を燃料とする薪ストーブが実は環境に優しいという議論があります.二酸化炭素削減には絶えず森林を育てていくことが必要で,そのためには間伐材を有効利用し,その売り上げたお金を森林育成に還元していくという考えです.炭素を循環させるというカーボンニュートラルという考えにもつながります.最近の薪ストーブは燃焼効率が高くなっていて無駄なく薪をエネルギーに変えることが出来るようになっています.システムあるいは流通は巨大になるほどロスも多く,身近なところで循環させるほうが効率がいいように思います.

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