内部建具
住宅には少なからずドアや引き戸といった内部の建具があります.中には「違いがわかる男」でも有名な建築家・清家清さんの自邸のように内部建具がひとつも無い住宅もありますが,かなり例外です.(この清家邸については 「私の家」白書 戦後小住宅の半世紀 に詳しくあります.)
なぜ建具が必要かというと,やはり部屋の独立性を高めるためということになると思います.光や音が洩れないように,また視線を遮るためといった機能です.でも場合によっては光が通った方がいい場合もあります.画像は玄関ホールから居間に入るドアです.玄関ホールが暗いので少しでも居間の光が入るように大きな透過性のポリカーボネート板が入っている框(かまち)ドアです.ガラスの場合は割れると危険なので強化ガラスを使いますが,ここでは乳白で2重になったツインカーボというものを使っています.多少の衝撃にも割れませんし,仮に破損してもガラスのように破片で怪我をする危険がほとんどありません.
トイレや脱衣室の場合は大きなガラスがあって中の様子が分かっては都合が悪いけど,中の照明がついているかどうかだけはわかるように小さなガラス(額)を入れます.また,換気の関係で空気を通したい場合もありますが,その時はガラリを付けたり,ドアの下の部分の床(敷居)との間を少し開けて(アンダーカットといいます)空気が通るようにします.
逆に寝室のドアなどは光も音も遮断したいので,枠の部分にゴムのパッキン材を付けたりして気密性の高い作りにすることがあります.
以上は建具の機能的な面での話でしたが,インテリアのデザイン要素としても建具はとても重要です.後半の3枚の画像は同じ住宅の建具ですが,しな合板に目地をとり,オスモカラーという天然系塗料で色分けしてデザインしました.高価な材料を使うのではなくても,ちょっとしたデザインで個性的な表情が出せれば,楽しいと思います.