あたたかい照明
冬至が近いこの季節,日が暮れるのが早くなりました.今日の釧路は夕方4時半ころには真っ暗になっていました.家の中で照明をつける時間も長くなります.住宅のインテリアでは照明をどうするかというのはとても大切な要素です.多くの人は昼間は仕事などで家にいませんが,夜は明かりのともる家で過ごすことになります.私は基本的に住まいの明かりは白熱灯のあたたかい光が望ましいと考えています.
画像はコードで天井から吊り下げる「ペンダント」といわれる種類の照明器具です.木をつかった室内の仕上げにあわせて木でできた器具を選びました.大きな吹き抜けのような空間ではそこにペンダントを下げることでより広がりが感じられるようになることがあります.
照明器具の光源は大きく分けて蛍光灯と白熱灯があります.このうち蛍光灯は空間全体をむらなく明るくするのに適していることから,さまざまな作業をする仕事場などの業務空間に向いています.一方,白熱灯は黄色みを帯びたあたたかい光の点光源です.インテリアでは明るいところと暗いところのメリハリがあった方が落ち着いた雰囲気になるので,やはり住宅の照明には白熱灯が向いていると思います.
問題は消費電力で,一般に蛍光灯よりも白熱灯のほうが消費電力が多いです.最近はパルックボールのような形は電球型で蛍光灯の消費電力の少ないものがあるので,そのようなものも併用するといいと思います.
去年のこの時期,HT邸で引っ越し前の完成住宅を一般の方々に見ていただく見学会をしました.その際,見学に来られた方で,この家は暗いと思うと言われた方がいました.お話をうかがうと現在お住まいの家は蛍光灯の白々とした照明なのだそうです.それに慣れていると白熱灯の照明はやはり暗いと感じるのかもしれません.慣れてしまうと,白熱灯の照明もあまり暗いとは思わなくなるはずです.
画像は完成直後で家具のない状態ですが,天井からつり下がっているペンダントは食卓用のもので,ポール・ヘニングセンのデザインによるPHランプです.柔らかい間接光があたりに広がると同時に食卓をあたたかく照らします.食べ物もおいしく見えて,食欲をそそります.
照明が暮らしに及ぼす影響はとても大きいので,気を配って考えて欲しいと思います.