建築の外皮
建築の本質のひとつに「内と外の境界をつくる」ことがありますが,その意味でフランス人建築家ジャン・ヌーベルはたいへん秀でた存在です.
画像はフランス・パリにある「アラブ世界研究所」です.アラブ文化というとイスラム教ですが,そのイスラム建築に特有の装飾をカメラレンズの絞りに似た機構でなぞっています.
これが内部から見たディテールです.本来はこの絞りの機構によって外部からの光量の調節をするはずだったようですが,ハイテクすぎて故障がちであまり機能していないようです.でも,純粋に美しいし,古典的なデザインを現代のハイテクに置き換えて再現しようとする発想そのものがとても斬新で感動しました.
建物全体はこのようにいたってシンプルな形態です.
日本で見ることのできる彼の建築が東京・汐留にある電通の社屋です.
セラミックプリントという手法によりグラデーションのかかったガラスのファサードは,陽の差し方によって見え方が微妙に変化します.建築の外皮を美しく見せることのできる建築家です.