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釧路の「かお」

釧路の街を代表する「かお」といえる建物はなにか?と問われると,やはり釧路川の対岸から見た釧路フィッシャーマンズワーフMOOかなと私は思います.釧路が生んだ建築家・毛綱毅曠氏によるデザイン(設計は他の事務所との共同)です.
MOO外観
港町に並ぶ倉庫をモチーフにしたスカイラインのデザインはどこか懐かしい感じがしますし,港町特有のにぎわいや,時間や天候によってはちょっとうらさびしい感じもします.毛綱建築の中では,もっとも親しみやすい外観かもしれません.

しかし,商業施設としては建設当初から厳しい状況が続いてきました.理由のひとつに社会の流れがあります.当時,バブルの真っ最中で日本中に第三セクターによるテーマパークができましたが,MOOもそのような建物でした.多くのテーマパークがその後,整理されていったように,MOOも衰退してきました.ただ,釧路の顔を無くしてはいけないという釧路市の強い意向で長らえてきたといっていいでしょう.
同時に釧路では郊外に巨大な駐車場を持つ大型スーパーができ,中心市街地の商業が空洞化してきたことも影響しました.
建築的には,この建物は水辺(ウォーターフロント)にありながら,その水辺側にたいしてほとんど開いていないことも問題のように思います.遠くから見たときの造形は素晴らしいのですが,内部からの街や環境との繋がりがとぼしく,人が集まる商業施設としての魅力が欠けているように思います.
MOO近景
せっかく水辺にあるのだから,それが見える飲食店があったりするともっとよかったのになぁと思います.
また,これも古くからある議論ですが,テナントが観光客相手なのか地元志向なのかも中途半端でした.
私自身は「無印良品」がテナントで入っていたときまでは,ここに買い物に行く機会もありましたが,それが撤退してしまってからはほとんど行く機会が無くなってしまいました.
画像は1階の海産物を扱う店の部分です.
MOO内部
行政もMOOの再建には大きく力を入れているようです.折しも今週いっぱいで釧路から百貨店が姿を消します.中心市街地はますます厳しい状況になるでしょう.
私たち地元の設計者も何ができるか,考え続けていかなければならないと思っています.

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