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コレクティブハウジング

釧路町でできたばかりの「遠矢コレクティブセンター」と「遠矢公営住宅」を見てきました.建築設計事務所協会釧路支部での見学会でした.
遠矢コレクティブセンター正面
「釧路町型コレクティブハウジング」の画期的試みです.

設計は北海道を代表する設計事務所アトリエブンクです.
少子高齢化の今日,高齢者のケアをどうするかというのは住環境の上でも重要な課題です.家族が少なくなっているので,家族内でケアすることは難しくなっています.かといって施設に頼るのもマンパワーや財政的な問題で難しいでしょう.だから在宅のまま,地域の中でケアしていこうというのは当然の流れなのだと思います.
遠矢コレクティブハウジング
手前の低層棟が地域交流センターで,奥が公営住宅です.私は当初ここはいわゆるデイケア施設と勘違いをしていたのですが,交流センターは高齢者の方が入りやすいようなお風呂とかの施設もありますが,あくまでも住民同士が助け合い交流することを促すための施設のようです.
遠矢公営住宅
公営住宅の部分ですが,1階が高齢者世帯向けで2・3階が一般向けです.特徴は1階部分は南側に廊下があり,玄関もそちらにありますが,その上の階は北側廊下で南側はバルコニーになっていることです.1階の南側通路は,高齢者の住まいが閉鎖的にならず社会にたいしてオープンになるように,加えて冬期間の蓄熱スペースとして計画されたようです.ただ,実際に見学してみると,真夏のお昼の太陽高度が高い時だからなおさらそうなのですが,住戸の中は薄暗く,暑いから通路側の窓も全開にすると思いますが,そうすると家の中が通路から丸見えになってしまいます.ここら辺の善し悪しは,これから住まう人たちの判断にゆだねられるのだと思います.

このようなコミュニティーの計画において,建築的なハードの工夫はもちろん必要なのですが,もっとも大切なのは人々の交流を促すソフトの部分だと思います.
そういった意味でも,この釧路町の画期的試みの今後に期待しています.


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