下見板
北海道の広大で自然いっぱいの敷地では,外壁を板張りにすることが多くあります.ほとんどの場合,板の端部をすこし重ねて横に張っていく下見板張りです.まちなかで敷地いっぱいに建物を建てる場合は法律上,外壁の防火性能が求められるので,可燃性の木を外壁に使うのは難しい場合があります.(絶対できないわけではありませんが,面倒です.)下見板張りは北海道ではお馴染みの技術で,かつての木造校舎はたいがいそうでしたし,今でも残っている古い住宅にもよく見られます.
この技術,起源はヨーロッパで,イギリスの南東部かスウェーデンかどちらかだそうです.それが地球を西回りに大西洋を越えてアメリカ大陸に渡り,さらには開拓民とともにアメリカ大陸を西へ西へと進み,西海岸のカリフォルニアに達します.そして明治政府の招きで北海道開拓の指導のために訪れたアメリカ人と共に太平洋を渡り日本に伝えられたそうです.そうした由来については藤森照信著 日本の近代建築 に詳しくあります.藤森さんの本はどれもそうですが,この本もとてもわかりやすくおもしろいのでお薦めです.