ビフォー・アフター?
カフェうりむぅは古い家屋のリフォームで出来たお店です.もともとは画像のような木造モルタル塗りの建物.ただし外壁が通気工法になっていなかったこと,柱などの軸組も傷んでいる部分があると思われたこと,窓などの開口部を大幅に変更したかったことなどから,外壁のモルタル仕上げはすべて撤去し,同時に内部の仕上げも床・壁・天井すべて一度撤去しました.結果的に柱の一部は根本が腐っていたので根継ぎして補強しました.小屋組も弱いところは補強しました.
改修後の外観はこのように生まれ変わりました.
画像は改装中の様子です.まずは既存の床仕上げを撤去して,新たな床組を作ります.既存の間仕切りはすべて撤去なので,新たに部屋の中央部分に丸太の柱を立て,そこに大梁をかけて既存の小屋組を支えていきます.なかなかに手間のかかる作業ですが,さすがに熟練の大工さん達で,手際よい仕事ぶりは見事でした.この後,外壁を撤去して新たに構造用合板を面材として張って補強し,さらに松の板材を大和張りにしました.
これが竣工した室内の様子です.丸柱とそれにかかる梁がみえます.
室内の仕上げは予算の制約もあり,OSBという木質系ボードを張りました.本来仕上げ材ではありませんが,あたたかみがあります.付け柱を3尺ピッチで取り付け,さらに長押も廻し,柱や梁同様濃いめの色で着色しました.これら付け柱や長押があることで,リズム感が生まれ間延びしない空間になったように思います.補強の梁も同様に天井のアクセントになりました.
今回もインテリアは事前にコンピューター・グラフィック(CG)で何パターンか作成し,その中からオーナーさんと協議して決めました.これが設計段階で作成したCGで完成型に近いものです.
建築を造るのは多くの人の共同作業です.まずはオーナーさんの思いがあり,私達設計者がそれを読みとって設計図にします.そして工務店の現場担当者や多くの職人さんの手によってひとつひとつ形作られていきます.そうして出来上がった建物には当然愛着が生まれます.奇抜さや斬新さは無くても,柔らかくあたたかい居心地のいい空間を作れたらと思います.カフェうりむぅがこれから多くの人に気持ちのいい時間が過ごせてもらえるように願ってやみません.