さる10月24日に北海道木質構造開発協議会の活動で釧路市音別町にカラマツの登録林分を見学してきました.登録林分,聞き慣れない言葉です.実は見学中もこの言葉の意味がはっきり解らずにいて居心地の悪い思いがしていましたが,帰ってきてからネットで調べてすっきりしました.林分(りんぶん)とは香川県のこちらのサイトによると「林相(構成樹種、樹高の均一さ)がほぼ一様で、しかも周囲の森林とはっきり区別ができるような林地。」と解りやすい解説がありました.今回見学したのは民間の所有ですが,植林されてから54年と53年を経たカラマツの植林で,なおかつ行政機関(北海道)によって価値のあるものとして登録されたところです.紅葉の始まった森は色鮮やかで森の香り(フィトンチッド)を満喫しました.
この林地を実際に管理されている方のお話を聞きながらの見学でしたが,あらためて森(植林)を維持していくことの苦労を知りました.ひとつには節が少ない木材にするために枝打ち(生育途中で枝を切り落とす作業)をしなければなりません.そして成長のいい木を残しそうではない木を間引く間伐の作業があります.もちろん伐採したあとには新たに苗木を植えなければなりませんが,近年増えているエゾシカの被害にも苦労しているとのことでした.
画像はまだ若い苗木ですが,表皮をエゾシカに食べられています.最頂部の部分を食べられてしまうと育たなくなってしまうそうですが,それ以上に大きくなると大丈夫とのことです.
強風で倒れてしまった木を目の前で切ってもらいました.チェーンソーで切り出すとさらに木の香りが漂い,切り株も美しく,森を堪能した瞬間でした.
ここには全道で9番目に高いカラマツがあります.測定した平成9年の時点で樹高が32メートルですから現在は40メートル近くあるかもしれません.
音別町で岩魚と行者ニンニクの天ぷらが載ったおいしい丼をいただいたあと,午後は「地域産木材活用セミナー」に出席しました.酪農の施設に地場産の木材が活用されていることが解りました.農業は人間の営みの原点である食を支えるものですから,まさにスローフード運動のように地域で循環出来ればという思いを新たにしました.