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2006年11月18日

アルヴァ・アアルト

フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトは大好きな建築家の一人です.彼の手がけたほとんどの住宅がフィンランドの森の中にあり,そんな状況が私が生まれ育った北海道に共通するのもひとつの理由かもしれません.自らも建築家である斎藤裕さんによる本「ヴィラ・マイレア」を購入しました.
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アアルトの代表的な住宅で,斎藤さんの撮影した写真も素晴らしいのですが,アアルトの残したスケッチをもとにその設計過程を解説した文もとても参考になりました.

建築についてなにも知らないまま大学の建築学科に入学し,いろいろと建築の本をみるようになって,真っ先に心惹かれたのがアアルトの「メゾン・カレ」というフランスに建つ住宅でした.特に細長い松材で出来た大きな曲線でうねる天井のエントランス・ホールの写真は何度も繰り返しみたように思います.
私にとってアアルトの建築のすばらしさは,あたたかくやわらかく,素朴でありながら洗練されているところです.使われている素材は木やレンガなどの天然系のもので,写真を見ていてもついさわってみたくなるようにその素材の持つ良さが引き出されています.
フィンランドも今は通貨がユーロになってしまいましたが,かつて独自の通貨だった頃,お札に入った肖像にアアルトが使われていました.おそらく建築家の肖像がお札に使われていたのはアアルトくらいだと思います.かくいう私はフィンランドに行ったこともなければ,アアルトの建築を実際にみたこともありません.ぜひ一度見に行きたいと思っています.

2006年11月16日

住宅写真展開催

第4回「わたしの好きな住宅写真展」がいよいよ明日からはじまります.
わたしも夕方,会場の設営に行ってきました.
住宅写真展 設営状況
もう4回目なので,手慣れたものです.とどこおりなく準備できました.
今回は,たくさんの方々から募集した住宅の写真の他に,北海道建築設計事務所協会釧路支部所属の設計事務所の紹介コーナーもあります.
個性あふれる住宅の写真が数々みられます.ぜひお越しください.
会場はイオン釧路昭和ショッピングセンター・1階サンコートで,期間は11月17,18,19日の三日間です.

2006年11月13日

内と外

日本建築の特徴のひとつに内部と外部が連続して一体になった空間というのがあります.襖や障子を開け放すと室内と縁側,そしてお庭が連続してあるというものです.しかし,寒冷地である北海道ではなかなかあのような開放感のある建築ができません.一年の大半で暖房が必要なこの地では,家は厳しい自然環境から我が身を守るシェルターのような存在で,壁には断熱材を詰め込み,熱の逃げやすい窓は出来るだけ小さく・・・と,内と外の区別をはっきりさせる建築になります.しかし,伝統的なあの開放感のある日本建築へのあこがれは強く,なんとか擬似的に内と外の中間的な空間が出来ないものかという試みは,北海道の設計者にとっていつも重要なテーマです.
kn邸のサン・デッキ

私にとってもそれは同様で,これまでに「サン・デッキ」とか「サン・ルーム」という名称の空間を試みてきました.限りなく内部に近いけれど外部に開かれた空間です.具体的には南側に天窓を含め開口部を出来るだけ大きくとった画像のようなスペースです.
sb邸のサン・デッキ
結局,デッキテラスやバルコニーをつくってみても,あまり使われることが無いので,それよりは内部に外部に近い空間を作った方がいいのではないかと思います.外でデッキチェアーに座ってゆっくりお茶を飲もうと思っても,そんなことが出来る季節は限られてるし,虫がうるさくてゆっくり出来ないかもしれません.
それよりは洗濯物を干したり,観葉植物を置いたりといった使い方を想定していますが,それはそれでやはり冬期間は結露の問題が生じています.
tn邸のサン・ルーム.jpg
とかく閉じこもることになりがちな北海道の住まいで,外との関係を模索していくことはこれからも重要なテーマです.

2006年11月10日

「わたしのすきな住宅」紹介写真展

私の所属する,北海道建築設計事務所協会釧路支部が主催する「わたしのすきな住宅」紹介写真展が来週末,開催されます.今年で4回目となります.

日時:11月17日(金)・18日(土)・19日(日)AM10:00~PM7:00
場所:イオン釧路昭和ショッピングセンター1階サンコート

住宅写真展パンフ

暮らしを豊かにするために,住宅がいかに大切なものであるかということを,たくさんの方々に知ってもらい,そして設計者である自分たち自身も認識するとてもいい催しです.釧路近郊にお住まいの方はぜひお買い物がてらお越しください.

2006年11月05日

オール電化住宅

寒冷地での住まいづくりでは,暖房方式をどうするかというのはとても重要な要素です.まずは熱源を何にするかということですがかつて灯油が40円/Lくらいだったころは,ランニングコストからいって灯油が第1候補でした.でも灯油価格が現在のように80円/L超とかつての倍以上になってしまうと,オール電化住宅のほうがランニングコストが安くなってきます.そのようなわけで,最近はオール電化住宅にする住宅が増えてきました.
玄関に設置した蓄熱式電気暖房機
これは蓄熱式暖房機を玄関に設置した例です.蓄熱式暖房機は,セラミックの蓄熱体に深夜電力で熱をため込むという構造上,どうしても機器が大きくて場所をとりがちですが,このように収納と組み合わせることで,その大きさが目立たないようにしました.また,家に入って最初の玄関先が寒いとなんとなく感じが悪いので,できるだけ玄関は暖かくしたいと思っています.

オール電化住宅の暖房というと,かつてはこの深夜電力を利用した蓄熱式暖房機しかありませんでしたが,最近になって融雪電力という契約を使って電気ボイラーで温水を作ってそれで床暖房をしたりパネルヒーターで暖房したりという選択肢も出てきました.さらには同じ融雪電力でオイルパネルヒーターというものもあります.
電気ボイラー
これはHT邸の暖房をまかなっている電気ボイラーです.灯油のボイラーと違って一台の出力が限られているので,この家では2台のボイラーを使っています.灯油のボイラーと比べて,小さいし,音がしないのが特徴です.ただし融雪電力での暖房は深夜電力による蓄熱式暖房機に比べるとランニングコストがやや高めになります.

去年,月曜塾で住宅の暖房について主にランニングコストについて勉強会をしました.その時,設備設計事務所の会員が作ってくれた資料によると,灯油単価が55円/Lくらいで石油温水暖房とオール電化の蓄熱式暖房が同等になるとのことでした.都市ガスをつかった暖房でさえ,灯油価格が80円/Lで同じになるそうなので,現状のように灯油価格が83円/Lといった状況では,灯油での暖房が一番高いことになってしまいます.この後,灯油の価格はどうなるのでしょうか?北海道では重要な問題です.

もうひとつ,これも月曜塾の勉強会で知ったことですが,エネルギー源別の二酸化炭素の発生量を比較すると,日本の現状では意外なことにガスや灯油を使った暖房よりも電気のほうが多いそうです.これは日本の発電事情がいまだ火力に大きく依存しているからですが,原子力発電の割合が増えると二酸化炭素の発生量は減ってくるそうです.なかなかむずかしい選択です.

暖房の話はまだまだ色々あるので,これからも取り上げたいと思います.